施政方針演説をする石破茂首相=24日、東京・永田町の国会
施政方針演説をする石破茂首相=24日、東京・永田町の国会

 2025年度政府予算案の閣議決定を報じた昨年12月28日付本紙にこんなくだりがあった。<交付税でカバーしきれない財源不足を補う「臨時財政対策債(赤字地方債)」の発行は01年度の制度創設以来、初めてゼロとなり、地方財政の健全化に寄与する>

 交付税は「地方交付税」のこと。地方自治体の税収不足を国税の一部で補い、どこでもできるだけ平等にサービスができるように手当てすることを指す。01年度からの24年間は、リーマン・ショックやコロナ禍などによる国の税収不足で地方交付税の財源が賄えず、地方自治体が借金をして財源の一部に充てる不健全な状態が続いた。

 総務省によると、残高は24年度末見込みで45兆8千億円に上る。返済は事実上国が肩代わりする制度とはいえ、地方交付税は国税で賄われるのが「筋」だろう。

 25年度予算で、四半世紀にもわたった「不健全な状態」から脱する意味をどう考えるか。地方交付税の不足分を借金に頼るのではなく、ルール通りに国税から分配される機運が生まれないか。

 そのためには、国税の配分率の引き上げを柔軟に行うことが必要で、今までは議論に全くなっていなかったが、かつての地方創生担当相という一閣僚ではなく、権力の頂にいる石破茂首相ならできるのではないか、と期待してしまう。首相が掲げる「地方創生2・0」が、小手先の対策ではなく、骨太であることを願う。(万)