「百年前の鳥取」をテーマにした講座がこのほど、鳥取市上町の市歴史博物館・やまびこ館であった。旧国鉄(現JR西日本)山陰線で、白兎海水浴場(鳥取市白兎)の近くに、夏だけの臨時駅ができたことなど1925年の鳥取の様子を、横山展宏学芸員が説いた。
横山学芸員によると、当時は山陰線湖山-宝木駅間(約10キロ)にほかの駅はなく、住民の要望で7月15日~8月31日に仮設の臨時駅が開かれた。白兎海水浴場行きの客が押し上げて、鳥取駅の8月上中旬の利用客数は前年同期の1・4倍に増えた。逆に浦富海水浴場(鳥取県岩美町)の客は激減した。
常設化を望む声もあったが、夏しかまとまった利用がないことなどから28年、白兎より2キロ東で、湖山-宝木駅間の中間地点に、末恒駅(鳥取市伏野)が新設されたという。
街中で湧く鳥取温泉にとっても節目の年。現在の鳥取市末広温泉町で地主らが前年の試掘に続いて掘削を行い、温泉が湧き出た。無料開放すると、市民が詰めかけ男女混浴状態になるほど。先行して温泉が見つかった現在の同市吉方温泉と結ぼうと、道路整備が進む原動力にもなったという。
やまびこ館主催の市民講座。約30人が聴いた。
(桝井映志)