男子3000メートル障害決勝で19歳の三浦龍司(順大)が8分16秒90の7位となりこの種目で日本勢初の入賞を果たした。バカリ(モロッコ)が8分8秒90で優勝。女子5000メートル決勝はハッサン(オランダ)が14分36秒79で勝ち、広中璃梨佳(日本郵政グループ)は14分52秒84の日本新記録を樹立して9位。福士加代子(ワコール)の記録を16年ぶりに0秒38縮めた。
男子走り幅跳び決勝で橋岡優輝(富士通)は8メートル10の6位となり日本勢37年ぶりの入賞。テントグルがギリシャ勢初優勝を果たした。
女子1500メートル予選で田中希実(豊田自動織機TC)が自らの日本記録を1秒75縮める4分2秒33をマークし3組4着で準決勝に進んだ。卜部蘭(積水化学)は4分7秒90の2組9着で落選。同100メートル障害決勝はカマチョクィン(プエルトリコ)が12秒37で勝った。
女子200メートル準決勝で、100メートルとの2大会連続2冠を狙うトンプソンヘラ(ジャマイカ)が2組1着で決勝進出。男子400メートルで日本出身の母を持つノーマン(米国)は準決勝を通過したが、世界記録保持者ファンニーケルク(南アフリカ)は決勝に残れなかった。
東京五輪へと続いた道のりの最終地点で三浦龍司が手に入れたのは、男子3000メートル障害で日本人初入賞という栄誉だった。度重なる日本記録の更新で注目を集める19歳が、五輪最後のレースでも大仕事をやってのけた。
手足の長い外国人選手に比べ、体格面で劣る三浦。ストライドの大きさで弱点を克服するダイナミックな走りは決勝でも健在だった。
レースの序盤、「(ペースが)遅いかな」と感じつつ、600メートル地点で先頭に立った。その後、トップを譲り、10位まで順位を下げたが、「ラスト勝負になる。切り替えるつもりでいた」。2000メートル過ぎから目標を入賞に切り替え、勝負はラスト100メートルの直線にもつれ込んだ。この時点で9位だった三浦は持ち味の「長距離選手らしからぬバネ」で最後の力を振り絞り、2人をかわした。渾身のラストスパートを「うまく体を動かせた。冷静に勝負どころを判断できた」と自画自賛した。
小学5年で3000メートル障害を専門種目にすると決め、レースデビューしたのは洛南高1年の時。最初は「全速で障害を越えることが怖かった」というが、レースを重ねるごとに恐怖心は自信に変わっていき、決勝では、いつも通り淡々と障害を跳び越えていった。
昨年7月の大学最初のレースから約10秒タイムを縮め、「世界7位」にまでたどり着いた姿は「昇り龍」を思わせる。「オリンピック自体はすごく楽しめた。国際大会のレースを踏めたことはこれからの競技に生きてくる」と三浦。大舞台での経験を糧に、次なるステージへ向けて上昇し続ける。 (藤原康平)
橋岡8メートル10 最後に意地 五輪日本人最長で入賞
8位で迎えた最終6回目。陸上男子走り幅跳びの橋岡は声を出し、気合を入れて跳躍に入った。無風の中、五輪で日本人最長となる8メートル10をマーク。順位を二つ上げた。メダルに届かず、悔しさはあるが「最終的に8メートルを超えることができたのはよかった」と話した。
3回目で7メートル97を跳んで7番目の記録で、上位8人が争う4回目以降に進んだ。5回目で8位に転落。ただ、今季は8メートルを跳べなかった試合は一度しかない。日本の第一人者が、最後の跳躍で意地を示した。
2年前の世界選手権も予選を今回と同じ全体3番目の記録で通ったが、決勝で「自分のジャンプができなかった」と8メートルに届かなかった。日本人初の8位入賞にも悔しがり、メダルが欲しかったと周囲にこぼした。
自国開催の五輪で一歩成長を示した22歳のエース。「世界レベルで強くなれるようにやっていきたい」と飛躍を期した。