きのうは二十四節気の一つの「雨水」だった。雪から雨へ変わる頃だが、再び寒波に見舞われている。大雪が心配だ。
それでも米子水鳥公園では、冬を過ごしたコハクチョウの北帰行が始まっている。昨季より約1カ月早い1月22日に開始。1995年の開園以降で最速らしい。梅の開花の知らせも届き、春の訪れも早いかと思ったが、勝手な解釈だったようだ。
冬の風景を彩るコハクチョウが旅立つのは寂しい気もする。先頃も松江市郊外の水田で餌をついばむ群れを目にし、心が和んだ。これまで何度かコハクチョウの写真を撮影した。ファインダーをのぞくと、美しい姿に引き込まれ、時がたつのを忘れてしまう。
宍道湖、中海は日本有数の水鳥の飛来地。先月12日に島根県が実施した2024年度のガン・カモ・ハクチョウ類の生息調査では、中海、能義平野、宍道湖を中心に25種、約9万4千羽が確認された。天然記念物に指定されているマガンやヒシクイもいる。身近にある水鳥の楽園は地域の宝だ。
多様な生き物や植物を育む汽水域の宍道湖と中海。国際的に重要な湿地の保護を目指した「ラムサール条約」に登録されて、今年で20年になる。条約の柱は「保全・再生」「賢明な利用」「交流・学習」。登録を機に始まった環境学習や一斉清掃が続いている。生物、食の恵み、風景など、興味がある分野から宍道湖、中海を見つめ直してみたい。(彦)