昨シーズンの中国サッカーリーグ最終節・FCバレイン下関戦でシュートを決める、ベルガロッソいわみのMF川満陸選手=2024年9月29日、山口県下関市
昨シーズンの中国サッカーリーグ最終節・FCバレイン下関戦でシュートを決める、ベルガロッソいわみのMF川満陸選手=2024年9月29日、山口県下関市

 サッカー・Jリーグが開幕した。プロリーグが始まった1993年は10クラブだったが、今は全国に60クラブが存在する。空白県は岩手、福井、三重、滋賀、和歌山、そして島根の6県だ。

 山陰両県唯一のクラブはJリーグ3部(J3)のガイナーレ鳥取。前身のSC鳥取を日本フットボールリーグ(JFL)に昇格した2001年から2年間取材した。選手は仕事を終えた夜、土のグラウンドで練習し、遠征は中古バス。選手が対立する姿も何度も目にした。

 取材した47試合のうち勝利の原稿を書いたのは6試合。決して強くなかったが、「地域を元気に、子どもに夢と希望を」との志が選手とスタッフ、サポーターに宿り、それぞれにドラマがあった。Jの舞台にたどり着いたのはJFL参戦から10年後だった。

 島根は空白県から卒業できるのか-。松江シティFCから名称変更し、Jリーグを目指したJFLのFC神楽しまねは経営難で退会、チームも解散した。灯は消えていない。石見地方全域を拠点にする中国社会人リーグのベルガロッソいわみだ。

 地域活性化に必要なのは「よそ者、若者、ばか者」といわれる。振り返るとSC鳥取はそろっていた。J1鹿島のホームタウン茨城県鹿嶋市の人口は7万人弱、J2鳥栖の佐賀県鳥栖市も7万人強だ。人々の情熱が島根に再びJへの強い灯をともす。道のりは長いが、石見の力を結集すれば無理ではない。(添)