扉が開けっぱなしになっていたため、雪が吹き込んで積もった状態になった頂上避難小屋=2月25日午後2時50分ごろ、鳥取県提供
扉が開けっぱなしになっていたため、雪が吹き込んで積もった状態になった頂上避難小屋=2月25日午後2時50分ごろ、鳥取県提供

 鳥取県大山町の国立公園・大山(1729メートル)で、知識や技能が不十分な一部の登山者の行動が問題となっている。2月25日には頂上避難小屋の扉が開けっぱなしの状態になって中に雪が吹き込み、1.8メートルの積雪で一時利用できない状態になっていたことが分かった。軽装の登山客も目立つといい、山岳関係者が注意喚起している。

 県西部総合事務所環境・循環推進課などによると、2月25日午前、頂上避難小屋の管理業務を担う大山マウンテンサポートの職員が、小屋内に雪が吹き込んで入り口をふさいでいるのを発見した。職員と登山者が同月27日までに除雪。3月10日現在、物品の破損などの被害は確認されていないが、太陽光発電に使う大型のバッテリーは雪解け後に点検するという。

 気象条件や大山遭難防止協会パトロール隊の報告などから、県は2月16日の最終利用者が扉を閉めずに退出したと推察している。

 積雪時、小屋は窓が雪で埋まって暗くなるため、扉を開けたまま利用することが多いという。利用者は入ったときに扉が開いたままで、退出時に閉めなければならないことが分からなかったとみられる。県によると、同様の事案は少なくとも過去10年で例がない。

 冬季の軽装登山も増えているという。とやま旅館(大山町大山)社長で大山山岳医療部会本部長の兜山真宏さん(44)は「ここ数年で山に関する知識が浅いグループの登山が増えた」と話す。冬山登山に欠かせないアイゼンやスノーシューを身につけずに入山するほか、禁止されているにもかかわらず、大山寺や大神山神社奥宮の境内をスキーで滑り降りる人もいるという。

 兜山さんは経験が浅い人だけの登山は非常に危険と指摘。「山岳ガイドなどの経験者と一緒に登山してほしい」と求めた。

 中国地方最高峰で、西日本で唯一の本格的な雪山とされる大山は、県外の登山客が多い。マナーの周知や安全登山に向けた啓発のため、関係者は声かけやポスターの掲示などの活動を地道に重ねる。環境・循環推進課の浦田紘佑主事は「今回のようなことが起きると、避難小屋の機能が失われ、他の登山者を危険にさらすことになる。一人一人にマナーを守ってもらいたい」と述べた。(中村和磨)