1995年3月20日午前8時過ぎ。その若手警察官は東京23区内のある警察署で当直勤務を終えるところだった。警視庁本部などからの警察無線を確認する仕事を割り振られ、署内のある部屋にいた。警察用語で「リモコン室」と呼ばれる場所だ。
この後に決められた仕事はない。どう過ごそうか―。そんなことを考えていると、急を告げる警察無線が鳴った。「駅で異臭、病人が出たようだ」。最初はそんな内容だったと記憶している。
ただ、時間がたつにつれ、無線の緊迫度は変わっていく。「警戒区域を設定」「G事案の可能性」―。治安を守る警察官の本能に突き刺さる言葉が次々と流れてきた。
「G事案...












