
―2024年は訪日外国人客(インバウンド)が約3700万人に上り、過去最多を更新しました。インバウンド消費を産業の「輸出」の枠組みで捉えると、自動車に次ぐ規模です。山陰でも「お金を落としてもらう仕組み」が必要です。
最重要視しているのは「総観光消費額」を増やすことです。総観光消費額というのは、簡単に言うと「人数×単価」です。高付加価値化によって「単価」を上げるため、25年度に計画しているのが「食」をテーマにした取り組みです。居酒屋で日本人客の単価は1人6千、7千円といったところですが、例えば鳥取のカニ、島根のノドグロといった本物を提供し、2万、3万円のメニューを作り、海外向けにしっかりとプロモーションしていくことが大事だと思います。
―韓国、香港と直行便でつながる米子空港で、5月には台湾便も就航し、「人数」の面も期待されます。
今はまだ直行便がない台湾から既に山陰両県にたくさんの観光客が来ています。関西国際空港、広島空港や岡山空港をゲートウエーに観光客を誘致することも、広域連携DMOとして戦略的にやっていくべきことだと考えています。

―4月から10月まで開かれる大阪・関西万博で期待される効果は。
大勢の人に直接来てもらうチャンスですので、山陰で15程度のツアーをつくり、万博のオフィシャルサイトに載せています。ただ、鳥取県東部までは日帰り圏内ですが、島根県はそうはいかないとなると、万博を契機にリピーターの候補地に選んでもらうプロモーションが大事です。そういう意味でも歩みを止めてはいけないと考えています。
―インバウンド観光を支える「観光人材」の育成を続けています。
インバウンドで稼ごう、身を立てようという熱意のある人を増やすためにも、人材育成や支援は、土台となるものです。「山陰ツーリズム人材育成塾」は4期目を終え、地域をマネジメントする「観光中核人材」を輩出しています。これからも継続していきたいと思います。


観光による山陰地域の活性化に興味、意欲のある皆さんへ。 是非、お持ちの熱意、そしてやってみたいコトを自ら文字や絵で描いてみてください。次に、身近な友人や大人たちに説明してみてください。まずは多くの人に話をし、理解してもらい、意見や感想を聞くことが第一歩だと思ます。もし、評判がよければ私ども「山陰インバウンド機構」に来て話してください。楽しみにお待ちしております。 「観光は人材」です!
野浪 健=鳥取県米子市出身(59歳)米子東高から早稲田大を経て、1988年にJTB入社。四国エリア広域代表兼高松支店長、中国エリア広域代表兼広島支店長などを歴任し、2023年7月より現職。 16年振りに、地元に戻ってきました。着任後、休日には山陰をウロウロとドライブしています。そして、改めて山陰の魅力の幅や奥深さに驚いています。 また、観光関連に限らず様々な方々に話を聞いて回っています。特に地域の方のお話は今後も聞き、大切にしながら、機構の取組みに活かしていきたいと思っています。
