「がん」について講演する磯和理貴副院長=出雲市今市町、パルメイト出雲
「がん」について講演する磯和理貴副院長=出雲市今市町、パルメイト出雲

 「がん」をテーマにした医療セミナーが15日、出雲市内であり、島根県立中央病院の磯和理貴(のりたか)副院長(65)が分かりやすく解説した。

 磯和副院長は呼吸器外科が専門。400万年前の原人の化石にもがんが発見されたことに触れ「現代の病気ではなく、人類の歴史とともにある」とした。がんは、正常なコントロールが利かなくなった異常な細胞「ならず者」で、設計図のDNAが傷つき、書き換えられてしまった状態と説明した。

 がんの厄介な特徴として「周辺細胞の停止命令を無視」「他の臓器へ勢力を広げる」などの六つを示し、がんによる死亡の9割が転移の病変によるものとした。ただ、多くの場合、がんの発生までには長い時間がかかり、食生活などの環境が大きく影響すると指摘。「普段から健康的な生活を心がけることが大切」と呼びかけた。

 セミナーは県立中央病院と山陰中央新報文化センター出雲教室が共催し、約40人が聴講した。参加した出雲市乙立町の後藤幹夫さん(69)は「分かりやすく、とてもためになった」と話した。(佐野卓矢)