1975年の名盤「キャプテン・ファンタスティック」
1975年の名盤「キャプテン・ファンタスティック」
アルバム「天使はどこに」
アルバム「天使はどこに」

          
1975年の名盤「キャプテン・ファンタスティック」

          
アルバム「天使はどこに」

 エルトン・ジョンの新アルバムが発売された。米シンガー・ソングライター、ブランディ・カーライルと連名の共演作品「天使はどこに」。78歳になる大御所エルトンが新作を出すだけでもファンには慶事だが、想像を超える充実ぶりに歓喜した。衰えるどころか、今が全盛と言ってもいいような活力みなぎる作品だ。

 ド派手なジャケットは1975年の名盤「キャプテン・ファンタスティック」のようだし、1曲目「ローラ・ニーロの薔薇(ばら)」の壮大な前奏は74年の2枚組大作「黄昏(たそがれ)のレンガ路(みち)」のオープニング「葬送~血まみれの恋はおしまい」を思い出させる。

 50年前の絶頂期の雰囲気漂う新作は、エルトンと相棒の作詞家バーニー・トーピン、エルトンを「最大のヒーロー」と敬愛するブランディ、プロデューサーのアンドリュー・ワットの4人がスタジオに集まって曲作りから始め、わずか20日間で完成させたという。

 2人のデュエット曲にソロ歌唱の曲も交じる全10曲。どの曲も4人の共作と記載されるが、エルトンが主導したであろう曲は「いかにも」といった感じのピアノ・ロックや重厚なバラードであり、ブランディが主導したであろう曲は爽やかなフォーク・ロック的サウンドを聞かせ、変化に富んだ構成となっている。心に響くメロディーに2人の幸せそうな歌声が乗り、ソロ作品にはない味わいがあって楽しい。(洋)