米国の一極支配が終わり、幕を開けた大国間競争の時代。米中ロが勢力圏を形成し、せめぎ合う世界の輪郭が浮かび上がる。トランプ外交が宿す「力こそ正義」のリアリズム。前回に続き、米国を代表する外交史家で冷戦史や大戦略論の泰斗ジョン・ルイス・ギャディス米エール大教授に聞く。

 -トランプ大統領は世界の現状を「大国間競争」と捉えている。

 「『トゥキディデスの罠(わな)』という言葉がある。古代ギリシャの歴史家トゥキディデス...