第五章・政重(まさしげ)帰参(4)

 

「大殿、大事ございませんか」

 重臣の神(かみ)尾(お)之(ゆき)直(なお)が、永を背負った利長に駆け寄った。

 彼の屋敷は三の丸の東側の搦(からめ)手(て)門の近くにあるが...