【シドニー共同】新型コロナウイルス対策で「模範」と見なされてきたニュージーランドとオーストラリアが、デルタ株の猛威の前に立ちすくんでいる。ニュージーランドは17日、半年ぶりの感染者1人を確認するや、直ちに全土でロックダウン(都市封鎖)を発動。都市封鎖が長引くオーストラリアでは、マイナス成長や景気後退も現実味を帯びてきた。
両国に共通するのは「感染ゼロ」を旗印にしたことだ。日米欧のような「新型コロナとの共存」容認には世論の反対が根強い。「自ら成し遂げた成功の囚人」(オーストラリアのモリソン首相)になり、経済再開に踏み出しにくくなっている。
「われわれが昨年、家にこもって多くの命を救うことに成功したように、(全人口)500万人のチームでもう一度結束しよう」。ニュージーランドのアーダン首相は17日に緊急記者会見でこう呼び掛けた。
ただ、ワクチン接種がオーストラリアと並び先進国最下位集団に甘んじていることもあり、最近のアーダン氏の支持率は低下傾向だ。
オーストラリアのシドニーは6月26日から都市封鎖が続く。このほど9月末までの延長が決まった。メルボルンも都市封鎖の導入、解除を断続的に繰り返す。
経済の両輪であるシドニーとメルボルンで外出が禁止され、大半の商店が営業を停止したことで7~9月期の国内総生産(GDP)は前期比で大幅なマイナスに陥るとの見方が強まっている。