第六章・天に抛(なげう)つ(1)

 

 慶長十七年(一六一二)三月になった。

 高岡城下の桜馬場の桜並木は満開である。富山城から移植した桜は三年目にしてようやく土地になじみ、本来の勢いを取りもどし...