【津和野】島根県津和野町に約400年前から伝わる県指定無形民俗文化財「津和野踊り」がこのほど、町中心部の殿町通りで披露された。保存会員や町民ら約100人が三味線や和太鼓の音に合わせて優雅に舞い、約500人の見物客が夏の風情を楽しんだ。
浴衣姿の帰省客や子どもたちのほか、多くの観光客も踊りに加わり、ちょうちんの明かりに照らされた通りには、世代を超えた踊りの輪が広がった。同町森村の団体職員、瀬戸里奈さん(25)は「昨年よりうまく踊ることができた。来年も踊るのが楽しみ」と笑顔を見せた。
津和野踊りは1617年に因幡国鹿野城から津和野城に入った亀井政矩(まさのり)によって伝わったとされる。政矩の父・茲矩(これのり)が戦で用いた奇策に由来があり、顔を覆う黒頭巾、白鉢巻き、長い袖の白浴衣という独特の装束で踊る。
今年は津和野踊り保存会が指導して練習会や体験会を事前に開いた。同保存会の山岡浩二会長(69)は「新たな取り組みを進め、津和野の黒頭巾の盆踊りをもっと広めていきたい」と話した。(岡野優衣)