JAしまね(松江市殿町)は2021年産米の買い取り価格について、20年産比で60キロ当たり最大2200円の引き下げを決めた。コシヒカリは1等米で2千円安い1万600円とした。新型コロナウイルスの影響による需要減で20年産の在庫が積み上がっており、厳しい販売見通しから大幅な減額に踏み切る。 (木幡晋介)
価格は集荷時に支払う仮単価で、つや姫はコシヒカリと下げ幅が同じ2千円安の1万1400円。コロナの影響で不振が続く外食産業でも多く使われるきぬむすめは1万400円、ハナエチゼンは9900円で、ともに2200円下げた。
単価の引き下げは2年連続だが、前年は300~100円安と小幅だった。
農林水産省が公表した主食用米の民間在庫量(6月末時点)は前年同期比9・5%増の219万トン。適正水準とされる200万トンを超え、余剰感から価格の下落圧力が強まっている。
島根県産米の在庫量は、きぬむすめなど業務用を中心に3900トン(7月末時点)と前年同期より1200トン多い。JAしまねが卸売先と結ぶ収穫前の事前契約も低調で、石川薫常務は「コロナの感染拡大で需要の先行きが見通せず、厳しい状況」と説明する。
JA出荷分でつや姫、きぬむすめなど33ヘクタールを作付けする農事組合法人おきす(出雲市斐川町沖洲)は、買い取り単価の下落に伴い約600万円の減収となる見込み。森脇康博組合長(68)は「下がることは想定していたが、(下げ幅の大きさが)ここまでとは驚き。経営に大きく響く」と嘆いた。
JAしまねのコメの買い取りは2段階の方式で、12月に作柄や相場動向を踏まえて仮単価を再試算し、追加金の支払いを決める。