松江ゆかりの文豪・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)と妻・セツをテーマにした講演会が7日、松江市内であった。セツを主人公のモデルにしたNHK連続テレビ小説「ばけばけ」の放送が今秋始まるのを前に、八雲のひ孫で小泉八雲記念館(松江市奥谷町)の小泉凡館長(64)が八雲が大切にした精神やセツとのつながりを紹介した。
八雲は母との生き別れ、失明、赤貧生活といったつらい出来事を経験した。他者に対して偏見を持たず、多様性を尊重する八雲の「オープン・マインド」は、「多くの困難を乗り越えたことから形成されたのではないか」と推測。極貧や結婚生活の破綻といった苦悩を経験したセツと響き合ったと解説した。
ばけばけにまつわるエピソードも紹介。主人公の名前である「松野トキ」は、1904年に八雲がセツに宛てた手紙に記された文字に由来していると明かした。
分断や対立が生じる現代において、八雲がセツと作り上げた怪談作品は人と自然、現代と過去をつなげる物語だと話し、「放送をきっかけに少しでも多くの人に松江に対して関心を持ってもらい、全国的なつながりが広がってほしい」とほほ笑んだ。
放送を前に機運を高めようと、聖教新聞社島根支局が企画し、島根県内外の約300人が聴講した。(松本ひろ)