島根県立古代出雲歴史博物館(出雲市大社町杵築東)でこのほど、ミュージアム講座があり、講師が古墳や横穴墓などの遺跡から見つかる人骨の特徴や当時の生活を説明した。
県内では弥生時代と古墳時代を中心に68遺跡から約390体の人骨が出土した。人骨からは性別や年齢、病変など多くの情報が分かる。高い遺伝性がある歯の形や歯並び、骨の形態の細かな違いから親族関係も調べられるという。
講師の中川寧(やすし)専門学芸員は弥生時代前期の遺跡では体を丸めた状態で、古墳時代後期はあおむけで埋葬されていると紹介した。
副葬品に装飾具を着けているのは女性、武器は男性に多いことも紹介。埋葬の順番で、初めに女性が埋葬されている例が近畿地方と比べると割合が高く、男性優位な社会が顕著ではなかったと推測した。
大学時代に人骨を研究していた隠岐の島町城北町の地方公務員、亀井乃亜さん(29)は「古墳時代の人骨が多いことに驚いた。遺跡を巡ってみたい」と話した。
休館中のミュージアム講座は月1回開催している。次回は14日に開く。問い合わせは同館、電話0853(53)8600。(片山皓平)