信濃川河口に近く、古くから港町として栄えた新潟市中央区の沼垂(ぬったり)地区。この歴史ある街で、青果市場だった長屋を改装した「沼垂テラス商店街」が全面オープンから10年を迎えた。かつてのシャッター街はにぎわいを取り戻し、陶芸工房や雑貨店、カレー屋、カフェなど個性あふれる店が並ぶ「古くて新しい」商店街に生まれ変わった。
昭和レトロな雰囲気にも引き寄せられ「ここで夢をかなえたい」と起業を希望する若い世代が集まる。観光客は県外や海外からも押し寄せ、地元の学生や若者もまちづくりに参加する。人々の新たなつながりが、次の担い手を呼ぶ好循環が生じている。始まりは、衰退する地域への危機感から立ち上がった地元郷土料理店の2代目店主の大胆な決断だった。(共同通信=藤田康文)
▽壁を感じない
早朝から太陽が照りつ...