地元オシドリグループが日野川沿いに設置した観察小屋。老朽化などで維持運営が困難になり、移設新築されることになった=鳥取県日野町根雨
地元オシドリグループが日野川沿いに設置した観察小屋。老朽化などで維持運営が困難になり、移設新築されることになった=鳥取県日野町根雨
観察小屋のある日野川に飛来するオシドリの群れ(日野町提供)
観察小屋のある日野川に飛来するオシドリの群れ(日野町提供)
地元オシドリグループが日野川沿いに設置した観察小屋。老朽化などで維持運営が困難になり、移設新築されることになった=鳥取県日野町根雨
観察小屋のある日野川に飛来するオシドリの群れ(日野町提供)

 国内有数のオシドリの飛来地で知られ、シーズン中に全国から約1万人が訪れる鳥取県日野町根雨の観察小屋が、町営施設として一新する。長年、地元グループが県の占有許可を取り、日野川沿いに設置・運営しているが、施設の老朽化と会員の高齢化で維持困難になった。町は来秋オープンに向け、事業費の一部を寄付で賄うクラウドファンディングを始める。 (山根行雄)

 町は関連予算の工事設計委託費100万円を2021年度一般会計補正予算案に計上し、3日開会の9月定例会に提出する。

 計画によると、新観察小屋は22年度の飛来シーズンに合わせ、現在地から約15メートル下流の県立日野高校グラウンドの一角に移設新築。県産材を使った平屋(約75平方メートル)の予定で、現施設より二回りほど広く、一度に20人前後が観察できるという。

 現施設は、1994年11月に発足したオシドリグループ(会員6人、案内ボランティア8人)がベニヤ板を持ち寄って設置。晩秋から初春のシーズン中のピーク時には、1千羽を超すオシドリの生態や行動、特徴が間近で観察でき、これまでに全国から延べ約20万人が訪れた。

 計画は、県管理の占有地の使用許可が22年3月末で切れ、グループ会員から高齢化を理由に閉鎖もやむなしとの声が出始めたのを受けて浮上。町産業振興課が県教育委員会と折衝し、日野川沿いに面した日野高グラウンドの一角に建て、町直営とすることにした。

 事業費1350万円は森林環境譲与税や自主財源のほか、10月開始のクラウドファンディングで補う。運営費確保のため、大人300円の入場料導入も検討中で、同課の稲田正純参事は「日野高生も巻き込み運営したい」と話す。

 餌のドングリ提供を呼び掛け、都会地の小学校と交流するオシドリグループ事務局代表の森田勝彦さん(78)、順子さん夫婦は「県鳥のオシドリは町の宝。観察小屋の一新は夢のよう」と言葉を弾ませた。