雲南市大東町出身で、女子教育や平和運動に取り組んだ元日本女子大学長の上代タノ(1886~1982年)について学ぶ授業が14日、大東高校(雲南市大東町大東)であった。地元の女性グループが朗読劇を通して偉業を伝え、女性活躍や世界平和へ思いをはせた。
朗読劇はタノの顕彰と発信を続ける「大東町の女性の集い」(白根三代子代表)のメンバー13人が演じた。同校での授業は13回目で、1年生約70人が耳を傾けた。
タノは進学した日本女子大学校(現在の日本女子大)で新渡戸稲造の知遇を受けて英国、米国の名門大学で学んだ。戦時中も英語指導に当たったほか、1955年にはノーベル物理学賞受賞の湯川秀樹らとともに「世界平和アピール七人委員会」を設立し尽力した。
朗読劇では幼少期をはじめ、女性の社会進出に制限がある中、果敢に世界に飛び出す様子を紹介した。タノが「小さな親切運動」の提唱者の一人でもあることから「このような時代だからこそ、思いやりあふれる、心の通う社会づくりを目指そうと思います」と語りかけた。
授業の後、1年の中島政美さん(16)は「行動力と先を見据える力がすごい。生きざまがとてもよく伝わった」と話した。
(白築昂)