第八章・寛永の危機(8)

 

 利常は秀忠らを茶室でもてなしてから、七万坪もの敷地がある本郷屋敷の一角に建てた高楼に案内した。眼下には不忍(しのばず)池(のいけ)が広がり、北には上野の山がこんもりと緑をなし、...