第八章・寛永の危機(37)

 

 利常を西の丸に招き入れたこの日、秀忠は土井利勝(としかつ)に西の丸勤めを辞め、本丸に上がって将軍家光に仕えるように命じた。

「我が病すでに易簀(えきさく)(臨終)...