第八章・寛永の危機(41)

 

 端午の節句が近付いた五月初め、家光の使者が本郷の下屋敷を訪ねてきた。

 堀田正盛(まさもり)という二十四歳になる近習で、家光の乳母である春日局の義理の孫に当たる...