成田空港に到着した、日本政府の退避支援対象アフガン人=13日午後
成田空港に到着した、日本政府の退避支援対象アフガン人=13日午後

 イスラム主義組織タリバンが暫定政権を樹立したアフガニスタンで日本政府の退避支援対象だったアフガン人が12日夜、成田空港に到着した。関係者によると、国際協力機構(JICA)の現地職員やその家族の計4人。タリバン復権後、対象のアフガン人が政府の手配により日本に退避したのは初めて。健康上の問題はない。13日午後には新たに6人が到着し、日本に退避したのは計10人となった。

 政府が退避者の日本定住のための長期支援策を検討していることも判明。希望があれば、在留資格を短期滞在から「特定活動」に切り替え、居住・就労のサポートも視野に入れる。

 外務省によると、12日に到着した4人は最大90日の短期滞在資格で入国し、新型コロナウイルスの水際対策のため14日間の隔離期間に入った。日本滞在を続けるか、第三国へ出国するか希望を踏まえて対応する。関係者によると、東京都内の政府施設に滞在している。

 外務省は今後のアフガン人職員らの出国に関し、タリバンと交渉して空路など安全な退避を目指す一方、自力により陸路で出国した人らの保護も続ける考えを示した。日本に身元引受人がいる場合は、元留学生らも支援対象にする。

 外務省などによると、4人は自衛隊機による退避支援活動前の8月下旬、隣国パキスタンに陸路で自力出国し、日本行きを希望。中東カタールのドーハを経由して民間機で来日した。日本政府は入国に関し、タリバン側と交渉していない。渡航や滞在費は政府やJICAが負担する。

 12日に到着した4人は、外務省の職員に案内されて検疫に向かい、新型コロナ検査で陰性と確認された後、入国した。

 タリバンは8月15日、首都カブールを制圧。日本政府は自衛隊機を派遣し、日本の大使館やJICAのアフガン人職員や家族ら約500人の退避希望者を運ぶ計画だったが、タリバンの検問やテロ発生のため、出国させることができなかった。