山陰両県で豪雨災害が相次いだ今夏、避難するお年寄りをボートに乗せて安全な場所へ誘導したり、川の増水を警戒したりする消防団員の活躍が目立った▼消防団員は仕事を持ちながら、自ら地域を守ろうという使命感で参加している。歴史は地方にまだ消防職員がいなかった明治に遡(さかのぼ)り「義勇」の心で成り立ってきた。消火活動だけでなく行方不明者の捜索、ポンプの操法訓練や防火の見回りなど業務は多岐にわたる。これに加えて度重なる災害である▼「義勇」の精神を尊重し、これに応えられる仕組みの再構築が必要だ。総務省の呼び掛けで、各市町村による処遇や活動の在り方を巡る議論が始まった▼柱の一つは処遇の見直し。非常勤特別職の地方公務員である消防団員は、市町村の条例で年額報酬や出動した際の手当が決まっている。例えば松江市消防団の年額報酬は3万2500円で、同じような人口規模、災害リスクがある出雲市消防団は1万7500円と、2倍近い開きがある▼総務省は概(おおむ)ね3万6500円程度との基準を示した。一つのたたき台ではあるが、災害に度々見舞われる1級河川・江の川の流域などは、消防団を大事にする視点で予備自衛官(4万8千円)並みに引き上げる判断があってもいいのではないか。人材確保や流域治水の観点から、首長の腕の見せどころであり、地方議員のチェックポイントではないだろうか。(万)