コーヒースタンド李庵(出雲市大津新崎町)の人気商品「黒糖タピオカ八雲ラテ」(650円)
コーヒースタンド李庵(出雲市大津新崎町)の人気商品「黒糖タピオカ八雲ラテ」(650円)

 素材にこだわった「心身にやさしいもの」を提供する店を新人記者2人が紹介する「はるかほのやさしいお店巡り」。第6回は出雲市大津新崎町のコーヒー販売「コーヒースタンド李庵」を紹介する。(Sデジ編集部・宍道香穂)

▷気軽に立ち寄れる店を目指して
 古くからの民家や商家が立ち並ぶレトロな通りにある古民家で、コーヒーやラテのドリンクを販売している。6月まで出雲市平田町で営業していたが、8月に現在地に移転。テークアウト専門でコーヒー販売を始めた。
 店のある通りは小中高生の通学路で、取材中も子どもたちが元気にあいさつをしながら行き交っていた。店主の小村美侑亜(みゅうあ)さん(37)は「町に溶け込んだ店」を作るのが夢だといい「子どもたちが気軽に立ち寄れる、“駄菓子屋っぽい店”にしたい」と話す。レトロな空間が好きだと言い、店内の内装は古民家の和風のデザインを生かし「町の駄菓子屋」のイメージにぴったり。

 

▷童心に返る「飲むデザート」
 人気商品は「黒糖タピオカ八雲ラテ」(650円)。タピオカ入りの黒糖ラテの上に綿菓子が乗った、存在感抜群のドリンクだ。小村さんは「通称“飲むデザート”です。八雲ラテを買うために広島や岡山から来てくれる人もいて、うれしいです」と笑顔で話した。
 上に載せる綿菓子はピンク色と水色の2色から選べる。水色を選んで作ってもらい、飲んでみた。

黒糖タピオカ八雲ラテ(650円)

 黒糖ラテの上にホイップクリームとキャラメルシロップ、マシュマロ、綿菓子が乗り、子どもの好きなものを詰め合わせたようなドリンク。黒糖シロップや牛乳の優しい甘さとふわふわの綿菓子は、子どもの頃の夏祭りのようなどこか懐かしい気分にしてくれる。
 ほかにもキャラメルラテ、カフェモカ、ヘーゼルナッツラテ(いずれも550円)など29種類のドリンクを用意する。マシュマロ、ミニわたあめ(各80円)バニラアイス、タピオカ(各100円)のトッピングもできる。


 店名を冠した「李庵珈琲」(500円)は、ブラジル、コロンビア、ホンジュラスを独自の割合でブレンドし、あっさりと飲みやすい味。ガツンと濃く眠気が吹き飛ぶというよりは、まろやかでコクのある優しい味で、ほっとひと息つきたい時にぴったりのコーヒーだ。物腰柔らかな小村さんや、温かみのある店内の雰囲気に合ったコーヒーだと感じる。
 使用する水の硬度やph値(水素イオン指数)、温度、豆を蒸す時間など、試行錯誤の末に見つけた基準でドリップするほか、「ドリップするときの気分」も重視していると話す。「イライラしている時、コーヒーをいれると味が悪くなりやすいので、規則正しい生活を心掛け、穏やかな気分を保っています」。健康的な生活を保つため、妻のあすかさん(25)と毎朝ラジオ体操をしているとの微笑ましいエピソードも聞けた。穏やかで優しい心遣いに、こだわりを感じた。

店主の小村美侑亜(みゅうあ)さん(37)=右=と妻のあすかさん(25)

▷人が集まる「温かい場所」に 
 店を開くまでは衣料品店、カフェ、実家の料亭、カメラマンと、さまざまな職を経験したという。将来のために安定した収入が必要だと考え、工場で夜勤を始めたが、夜型の生活スタイルが体に合わず、2年後に体調を崩してしまった。療養生活を送る中で「やりたいことをやって、後悔しない人生を送りたい」と考えるようになり、あすかさんの応援にも背中を押され、開店に向け動き出した。
 小村さんは「人と話すのが好きなので、人と関わる仕事をしたいと思っていました。加えて、自分の居場所を作りたいという思いもあり、カフェの開業を考えるようになりました」と話す。コーヒー豆の焙煎からドリップ、販売までを行う知人の店で豆の種類や味、焙煎方法を学び、2020年3月、夫婦でコーヒーソムリエの資格を取得。あすかさんの誕生日の4月16日に店を開いた。
 今後は店内を改装し、イートインスペースを作ったり焙煎機を設置したりするのが目標だという。

温かみのある雰囲気の内装

 店を訪れた人からは「ここに移転したのですね」「またここのコーヒーが飲みたくて来ました」と声を掛けられるといい、住民に愛され必要とされている店なのだとうかがえる。人当たりがよく、朗らかな小村さんのもとには取材中も頻繁に人が訪れ、笑顔で会話を楽しんでいた。店を訪れる客や下校中の子どもたちでにぎわう「コーヒースタンド李庵」。まさに駄菓子屋のような、心温まる場所だと感じた。