中国の目覚ましい経済成長を推進してきたエンジンが「空回り」してくるのではないか。そんな予感がしてくる。先ごろ開催された中国共産党の重要会議、第19期中央委員会第6回総会で採択された「歴史決議」は、この国の来し方行く末を内外に示すものだが、行く末には、平等主義を追求したマルクス主義が色濃く影を落とす▼歴史決議が採択されたのは40年ぶり3回目のこと。建国の父である毛沢東、改革開放路線を主導した■(登におおざとヘン)小平に続き、習近平総書記(国家主席)が3人目の「主人公」として取り上げられた▼習氏の大物ぶりを称(たた)える決議では、「習近平の中国の特色ある社会主義思想」を「21世紀のマルクス主義」と例えつつ、今世紀半ばまでに「社会主義現代化強国を築く」と勇ましい▼日本に差をつけ、米国に迫る中国の経済発展を導いたのは、社会主義思想に縛られてきた「私欲」を解放したことが大きい。私欲同士の自由な競争が経済に活力を与え、ひいては国家を繁栄に導く。その道筋を付けたのが■(登におおざとヘン)の功績だが、今回の決議は、■(登におおざとヘン)路線の軌道修正を示唆するかのようだ▼頭(政治)は社会主義ながら、肉体(経済)は市場経済。そんな現在の中国の体制が、頭に引っ張られて肉体も社会主義化していくのではとみるのは、うがち過ぎだろうか。貿易などを通じて切っても切れなくなった日中経済の縁。私欲を無理に抑えるのは体に悪い。(前)