宍道サバゲーPARK DANDANでサバゲーを楽しむ愛好家たち
宍道サバゲーPARK DANDANでサバゲーを楽しむ愛好家たち

 松江市宍道町白石の公園「宍道総合公園古墳の森」が11月28日、エアガンを撃ち合って遊ぶサバイバルゲーム(サバゲー)場として生まれ変わった。出雲空港や山陰自動車道の宍道ICから車で数分という立地を生かし、県内外の愛好家を呼び込んでにぎわいの創出を狙う。公園がサバゲー場になった経緯と愛好家によるデモゲームの様子を伝える。(Sデジ編集部・吉野仁士)

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 サバゲーは敵と味方に分かれ、遊戯用の銃でプラスチック製の弾を撃ち合うゲーム。相手の弾が当たると失格で、主に相手チーム全員を失格にしたチームが勝利する。松江市によると、競技人口は全国35万人で、市場規模は100億円に上るという。

 宍道総合公園古墳の森は1990年、大小30基の古墳で構成される古墳群のPRを目的に整備された。総面積は4・3ヘクタール。このうち森林が3分の2を占める自然豊かな公園で、宿泊ができる高床式キャビンや炊事棟、屋外ステージが備わる。

公園内にある宿泊用のキャビン。年季が入っている。現在はサバゲー参加者の更衣室としても使われる

 施設の老朽化に伴って、利用者が減少し、2020年のキャビンの利用者はわずか2人だった。公園の活用策を検討する中で、地元住民からサバゲー会場として活用する案が寄せられ、試験運営に取り組むことになった。2022年4月の本格オープンを目指して、需要や課題を調査することにした。

テープカットを行う松江市の上定昭仁市長(中央)ら

▼2階建てのやぐらも

 整備された約1ヘクタールの広場にはベニヤ板で作られたバリケードや、ドラム缶があちこちに並ぶ。身を隠せる場所が多いほか、2階建てのやぐらがあるため、立てこもったり上方から相手を狙ったりと、戦略性の高い戦いが楽しめるという。

新たに整備されたサバゲー場。至る所にバリケードがあるほか、奥には2階建てのやぐらがある。見ているだけでワクワクする

 デモゲームには愛好家約20人が参加した。赤チームと黄チームに分かれ、広場の両端に待機。敵味方の判別は腕に巻いたテープの色でする。

 

 試合開始のブザーが鳴ると、迷彩服に身を包んだ参加者が、広場のあちこちに立つベニヤ板に身を隠したり、しゃがんだりしながら敵に向かって少しずつ前進する。ほどなくして、広場中の至る所から発砲音が響いた。のどかな公園はゲームの緊迫感に包まれた。

 弾が当たった参加者は「ヒット」と声を上げ、手を挙げながら退場する。全員ゴーグルを着け、肌が出ない服装のため、けがの危険はないという。自己申告で失格を宣言するのがルールで、紳士的な一面もある。

 ゲームの進行は想像より早く、両チームの生き残りは1分ほどで2、3人になった。最終的には、身を投げ出して果敢に攻め込んだ黄チームが勝利した。

 

 ▼愛好家たちの評価は?

 愛好家から見て新設された会場はどうだったのか。参加した、島根大サバゲー部の宮崎翔部長(19)は「市街地から近いことが何よりもうれしい」と立地の良さを一番に挙げた。

 宮崎部長はサバゲーの魅力について「自然を肌で感じながら、仲間たちと直接声を掛け合い、助け合いながら勝利を目指せる点」と話した。外遊びをする機会がなくなっていく中、サバゲーは童心に帰れるという。学生生活であまり接しない40~50代の愛好家と対戦し、対戦後は交流できる。サバゲーの技術だけでなく、社会についても教わることが多いと言い、室内で遊ぶテレビゲームとは違った特別なつながりを感じることができるという。

 島根大サバゲー部の部員は19人いるが顧問がおらず、大学非公認の部活として活動する。非公認のため大学内の施設を借りることができず、これまでは車で片道1、2時間かけて大山(鳥取県大山町)や三瓶山(大田市三瓶町)にあるサバゲー場に通った。新設されたダンダンには30分程度で到着できる。

 宮崎部長は平地でバリケードが多いサバゲー場は珍しいと言い「相手となかなか会わなかったり、急に後ろを取られたりとかなり戦略の幅が広い。平地なら老若男女が楽しめるので、多くの愛好家が集まるのでは」と新しいフィールドに期待した。

デモゲーム後に集まった参加者。男女問わず幅広い年齢層の愛好家がいるようだ

 サバゲーは近年、若い女性にも人気だという。参加した、松江市西川津町の会社員、平野あけみさん(32)と出雲市斐川町荘原の会社員、田中美保さん(29)はサバゲー歴1、2年。サバゲーで知り合った友人同士だ。

 きっかけは、ともに動画投稿サイトでサバゲーの動画を見たこと。サバゲーの魅力について、平野さんは「非日常の空気の中で野性的に動けるのがたまらない。普段は働く女性だが、サバゲー中は仕事を忘れることができる。泥の上に伏せるなんて普段の自分では考えられない。ゲームの中でならば生き残るために何でもできる」と興奮気味に話した。子どもの頃に遊んだ鬼ごっこやかくれんぼのドキドキに近いのかもしれない。

 女性の視点で、田中さんは特に観覧席の存在が気に入ったようだ。「女性はサバゲーに興味があっても最初は参加しにくいと思う。観覧席で見学できれば参加のハードルも下がるし、サバゲーに興味を持つ人も出てくるのでは」と話す。新しいサバゲー場は、立地や会場の地形など、初心者から上級者まで幅広い層が楽しめる条件がそろっている印象だ。

フィールドの中央付近に設営された観覧席。平地から見てかなり高い位置にあるほか、観覧者はゴーグル着用が義務づけられているので安心だ
観覧席から見た景色。かなりの広範囲が見渡せる。ここから試合を眺めるだけでも十分楽しめそうだ

▼地元の住民団体が運営

 サバゲー場は、JR宍道駅で豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス瑞風」のおもてなし活動を続ける住民団体の「瑞風」とまちづくりの会(持田康史代表、22人)と、遊休施設の活用策を提案するコンサルティング会社「CLIP(クリップ)」(川上隆幸社長、松江市東津田町)が松江市から公園を貸与され、運営する。名称は「宍道サバゲーPARK(パーク) DANDAN(ダンダン)」とし、CLIP社が約300万円をかけて整備した。市によると、県内のサバゲー場は他に5カ所あり、市内では初めて。

横断幕を広げ、小旗を振って瑞風の乗客を迎える沿線住民たち(資料)

 町内にサバゲー広場を作る案は昨年11月、住民が宍道町の活性化策を発表する市主催のプレゼン大会で、宍道公民館の佐藤和彦館長(60)が発案した。佐藤館長は「瑞風」とまちづくりの会のメンバーでもある。自然の中に人を集めることができる仕掛けを探した時、若者に人気のサバゲーの存在を動画投稿サイトで知り「宍道町にぴったりだ」と思い立ったという。別の参加者からは古墳の森を交流拠点として整備する案も出た。

 当初は実践する担い手がいなかったが、佐藤館長がサバゲー愛好家歴20年の川上社長(35)と知り合った。プレゼン大会の案を知った川上社長が公園をサバゲー会場に整備することに意欲的だったため、まちづくりの会のサバゲー部部長とし、会が管理運営の主体となって松江市から公園を借り受けた。持田康史代表(69)は「サバゲー会場を整備したいというCLIPの熱意を感じ、純粋に会として応援したいと思った。地域のにぎわい創出にもつながるし、何事もやってみないと分からない。拒否する理由がなかった」と振り返る。

 

▼市も情報発信で後押し

 所有する公園がサバゲー会場になることについて、松江市公園緑地課の石本彰課長は「地域をよく知る住民主導で決まったことはとてもありがたい。ゆくゆくは全国的に知られるサバゲーの聖地となり、さまざまな分野に経済効果が波及することを期待する。市としても公園内の施設改修や情報発信でできる限り協力していく」と話した。

 運営する瑞風とまちづくりの会は今後、利用実績を見ながらサバゲー場を3ヘクタールまで広げ、西日本最大級のサバゲー場を目指すという。川上社長は「広さは全国有数で、多くの愛好家から注目される可能性を秘めている。サバゲー以外にも鬼ごっこ大会といった各種イベント会場としても使い、全国から人が集まる交流拠点にしたい」と意気込む。
 

 宍道サバゲーPARK DANDANは週3日程度の運営で不定休。参加受け付けは午前9時からで、午前の部は午前10時15分から、午後の部は午後1時から始まる。料金は全日参加の場合2500円、午前か午後のみ参加は2千円。使用機器は有料で貸し出す。ゴーグルは500円(見学での着用は無料)、電動ライフルは1500円、電動ハンドガンは千円。飲料やカップ麺の販売もある。

 問い合わせはCLIP、電話0852(78)2627。