立憲民主党は、新しい代表に47歳の泉健太政調会長を選出した。衆院選の敗北直後とあって、代表選が盛り上がったとは言い難い。しかし、政治の場で喪失した緊張感を取り戻すには、政権の受け皿たる強靱(きょうじん)な野党が何よりも不可欠だ。

 失望感をもたらした旧民主党政権のカラーの薄い、若い党首の就任を機に、国会、地方議員が一丸となり、再出発してもらいたい。

 立民が衆院選で大敗を喫したのは、代表選の論戦で逢坂誠二氏がいみじくも「政権選択選挙という現実感があったか」と語ったように、政権を担い得る勢力として認知されなかったのが大きな要因だろう。訴えが有権者の心に響かず、政権交代のリアリティーを感じさせられなかった。

 それを克服するには、当面の新型コロナウイルス対策にとどまらず、人口減少と少子高齢化の加速という「縮む社会」にどう立ち向かうのか、気候変動問題や厳しさを増す国際情勢にどう対応するのか、自民、公明両党の連立政権への対立軸を明確にした国家・社会像の提示が不可欠だ。そして内政から外交・安全保障まで体系的で財源に裏打ちされた実現可能な骨太の政策を磨き上げることが急務となる。

 さらに、弱点とされる若い世代の支持を獲得する具体的な方策も求められよう。泉新代表は「普通の安心が得られる社会」を掲げ、「政策立案型政党」を主張した。約束した半数を女性とする執行部とともに、早速臨時国会で手腕が試される。

 同時に、新代表が早急に着手しなければならない問題は、8カ月を切った参院選の選挙体制の構築だ。そのためには、衆院選を徹底的に検証しなければならない。代表選の4候補とも多くの選挙区で共産党を含む候補の一本化は間違いではなかったと述べた通り、現状の党勢ではやむを得ない選挙戦術だった。参院選の勝敗の鍵を握る32の改選1人区では与党と「1対1」の構図をつくらなければなるまい。

 問題はその先だ。特定の政策に限ったものとはいえ、共産党との閣外協力に踏み込んだことが、自公や日本維新の会から格好の攻撃材料となり、有権者の警戒感を招いてしまった。共産党との選挙共闘と、目指す政権の枠組みについて整理し、丁寧に説明していく必要がある。

 党内外には「反対、批判ばかりの党」という印象を有権者に与え、それがマイナスに働いたと指摘する声も少なくない。だが、行政監視の役割を担う国会では、野党が政府、与党の失政や不祥事に対して手を緩めるようなことがあってはならない。一本調子の追及ばかりではなく、疑惑の解明で決め手となる調査力の向上も課題だ。

 旧民主党時代から、寄り合い所帯で、党がバラバラという印象を与えてきたのも事実。意思決定のプロセスでさまざまな意見が噴出するのは開かれた政党として当然かもしれないが、決まったことには従うという当たり前の政治文化も養いたい。

 共産との共闘などを議論する前提として、まず立民自身が自立しなければならない。都道府県や市町村議会の選挙で地方議員を地道に増やしていく、首長選でも与党とは別の選択肢を示す、地方組織を強化する。風頼みではない、こうした日常的な努力なくして党の再建はあり得ないと肝に銘じるべきだ。