しつけのためとはいえ、親が子どもに体罰を与えることが法律で禁止されるようになったのは、つい最近のこと。法改正で昨年4月から禁止されているが、いつの間にそんなことになったのか、と戸惑う人も多いのではないか。程度にもよるが、子どもへの「愛のむち」としてなら認められていい、とする考え方も日本では根強い▼「勝海舟の父親は子どもの頃、けんかで相手にけがをさせた罰として木にくくりつけられ、父親に頭をげたで殴られて血を流した」。子どもの権利に関する講演会で、法テラス西郷法律事務所(島根県隠岐の島町)の貴田徹弁護士は、こんな逸話を紹介しながら、しつけと体罰の関係を説明した▼双方の関係は相対的で、時代の常識や価値観によって変わる。江戸時代なら、親が子どもに厳しい体罰を与えることで規範意識を育てるのはしつけのお手本とされた▼今もその風潮は残っているだろう。全国の児童相談所が2020年度に児童虐待として対応した件数は、初めて20万件を超えた。育児放棄や心理的虐待を含め、各地の児童相談所に寄せられる相談も増えている▼島根県内の20年度の児童虐待相談件数は、533件と10年前の2倍以上に増加。感情に任せて子どもに暴力を振るうケースも少なくない。子どもに苦痛を与えることが心の傷として後々までどんな影響を及ぼすか、親も頭を冷やして考える必要がある。(前)