新年早々、気が滅入(めい)る話である。年が明けてから食品や光熱費の値上げが相次ぐ一方、足元の実質賃金は減り、公的年金額も4月分(6月支給)から引き下げの見通し。身近な支出が増えるのに、収入は減る図式。コロナ禍で傷んだ経済の回復に値上げによる消費抑制が水を差す恐れも出てきた▼値上げの要因の主犯格は、原油高と円安を通じた輸入インフレ。円安が進み、輸入に円で支払う代金が高くなっている。原油を含む資源価格高とも相まって電気、ガソリン、小麦粉などの値上げを招いているが、いずれも原燃料として他の品目への「価格感染力」が強いだけに国民生活を圧迫しそう▼円安は、円に換算した輸出代金を増やしてくれる善玉の顔を持つ一方で、輸入への支払い増を請求してくる憎まれ役も兼ねる▼日銀の超金融緩和政策による海外との金利差が円安の主因。オカネは、高い利子を求めて金利の低い所から高い所に流れる。超低金利の日本円を離れて金利が上昇しそうなドルなど欧米の通貨に「乗り換え」が進み、円が売られる▼不可解なのは、インフレの足音が聞こえてくるのに、2%の物価上昇目標の旗を降ろそうとしない日銀の姿勢。今年は物価目標に向けた政策をスタートさせてから10年目を迎える。賃金上昇を伴って物価を上げるはずだったのが、賃金は上がらないのに物価だけ上がる。コロナ禍から回復どころではない。(前)