年間大賞は逃したものの昨年の新語・流行語大賞にノミネートされ、一躍脚光を浴びた「親ガチャ」。硬貨を入れ、レバーを回して取り出すカプセル式の玩具「ガチャガチャ」のように、親を自分で選べないことを一言で表現している▼言い得て妙ながら、何だかさみしい。ガチャガチャは本来「何が出るんだろう」という期待感が魅力で、悲嘆は不似合いだ。その点、こちらはワクワク感満載。格安航空会社のピーチ・アビエーションが販売する〝旅ガチャ〟が人気を集めているらしい▼正式名称は「旅くじ」。カプセル自動販売機で5千円を支払うと、北海道や沖縄など指定された目的地への航空券が購入できるポイントが入手できる仕組み▼旅の行き先を自分で選べないという遊び心が注目を集め、昨年8月に大阪・心斎橋に設置すると一時品切れとなる人気に。10月に東京、11月に名古屋、12月には福岡にも設置された。ピーチが飛んでいない山陰から見ると、うらやましい限りだ▼「新潟やったわ。何があるんかな」「釧路ってどの辺?」…。大阪で購入した若者からは、そんな感想があふれた。目的の後に行き先を決めるのではなく、行き先が決まってから旅の想像を膨らませるという、従来と異なる旅の楽しみ方が魅力だ。コロナ禍で低迷する同社の搭乗率も回復傾向に向かっているという。やっぱり「ガチャガチャ」は夢のある方がいい。(健)