東大前の歩道で受験生ら3人が高校生に刃物で切りつけられ、衝撃が走った今年の大学入学共通テスト。被害者の早期回復を願うばかりだ▼テストの「政治・経済」の問題に向かってみた。今年の出題では架空の新聞が題材にされた。1面トップの見出しは「世界経済落ち込み深刻」。コロナ禍と14年前のリーマン・ショックを彷彿(ほうふつ)させるようなフレーズに「新聞をしっかり読みなさい」とのメッセージが伝わってきた▼設問は、雇用への影響から消費税増税、インフレなどに及び、いろんな角度から攻めてくる。経済の基本的知識を時事問題に活用する力を試す出題意図がうかがえる▼消費税が3年前に10%に引き上げられた影響を問う設問では、お金持ちに優しく低所得者に厳しい逆進性を考えさせた。税率が一定なら、高所得者ほど収入のうち消費に回す割合は低くなるため、税負担は軽くなる。見方によっては弱い者いじめ。その仕組みを受験生はどう受け止めたのか▼オカネの値打ちを下げるインフレは、借金を抱える債務者を有利にする一方で、貸しのある債権者を不利にする。国債を乱発して借金を増やす超債務者の国にとって、借り得をもたらすインフレの問題は現在進行形。蜘蛛(くも)の巣が張りそうな我が脳みそをたたき起こして問題と苦闘しつつ、被害に遭った受験生がショックを乗り越え、次の受験機会に実力を発揮できるよう祈った。(前)