「どなたでしたっけ」。わずか1カ月前に会ったばかりの人にけげんな顔をされた。昨年12月上旬、初めて会ったその人とは2時間程度話をしたはず。年明けに再会すると既に顔を忘れられていた。ところが3年ぶりに再会した別の知人は、マスクをしていても「お久しぶり」と声を掛けてきた▼前者と後者の違いを考える。1カ月前の初対面の人とは互いにマスク姿で、こちらは一度もマスクを取らなかった。後者はコロナ禍以前からの知り合いで、互いの素顔を知っている。目だけ出したマスク姿だと個人を記憶しにくくなるのかもしれない▼一方で「マスクが異性の顔を魅力的にする」という研究結果を13日付の英国紙ガーディアン(電子版)が伝えた。英カーディフ大の心理学者が女性43人に対し(1)素顔(2)布マスク(3)医療用マスク(不織布)(4)本で鼻から下を隠す-の4パターンの男性の写真を見せ、10点満点で魅力を採点させた。結果、医療用マスクが最も高得点だった▼学者は、かつてマスク姿に病気のイメージを持つ人が多かったが、新型コロナ流行で安心感に変化したと指摘する。併せてマスクの下の顔を脳が想像で補完する際、誇張気味になる傾向が影響したとしている▼互いに素顔を知らない人が増えるのは悲しいが、コロナの重大局面では仕方ない。春はまだ遠いが、4月には〝新顔〟が見られるのでは…というのは希望的観測か。(釜)