松江市中心部から国道431号で西に向かう。車で10分ほど行くと、いた!田んぼの中に白鳥の群れ。一面白くなるほどのコハクチョウがいた。毎年、北から渡ってきたコハクチョウは、松江B&G海洋センター(松江市西浜佐陀町)横の潟湖をねぐらに、付近の田んぼで餌を得ている▼1月26日に行われたガンカモ類生息調査では、宍道湖のハクチョウ類は482羽を数えた。能義平野では1060羽が観測されている。島根県全体ではガン、カモ類も含めて中海・宍道湖地域を中心に4万4千羽を観測した。ほぼ例年通りの渡来があったとみられる▼ただ一つ心配なことがある。水に潜って貝などを食べる潜水ガモの、キンクロハジロ、スズガモなどがここ5年ほど減少傾向なのだ。2017年に1万9千羽余りを数えたスズガモが今年は7千羽足らず、9千羽余りいたキンクロハジロが7600羽余りだった▼年度別の推移を見ると両種とも右肩下がりのように思える。渡り鳥が居着く条件は安全なねぐらと豊富な餌だといわれる。宍道湖ではシジミを、中海ではホトトギス貝を主に食べているという。つまり渡来数の減少は、特にシジミの減少と関係しているのではないかと心配される▼鳥類、水生生物、水質の各専門家など、多方面からの協力した検討が必要ではないか。渡り鳥が自然環境のバロメーターであることは間違いないのだから。(富)