東京・永田町のトレンドはいま、衆院選挙区の定数「10増10減」。次回選での適用が既定路線だったが、ここにきて自民党内で反発が一気に表面化。有志議員が配る趣意書には地方軽視の批判が上がっていることが記載された▼いち早く声を上げていたのは「選挙博士」の異名を持つ細田博之衆院議長(島根1区)。地方の政治家が減ることを批判し「3増3減」を提唱した経緯もある。中立な対応が求められるのは承知の上、批判も覚悟の上の問題提起だろう▼全国紙が先日、将来の議員定数の試算を報じた。「2040年16増16減」。東京は25から33、1都3県は71から84に増える。既に最少の2となっている島根、鳥取の名前はない。昨年衆院選で有権者最少は鳥取1区約23万人。最大は東京13区約48万人で格差は2・08倍ある▼10増10減の算定式を導入した法改正を主導した自民党は党利党略の批判から逃れられない。地方議員が減るのはおかしい-。その主張はまっとう。むしろ〝いまさら感〟しかない▼一極集中是正と地方創生を掲げ当選した政治家がそれを果たせず、自らの議席に手が伸びた時に慌てて声を上げる。地方の声はますます届かなくなる。この構図をいつまで繰り返さないといけないのか。いずれ島根や鳥取を定数1に、などという案が出てこないとも限らない。もっとも、そうなる頃、既に地方は〝消滅〟寸前かもしれないが。(築)