中国電力島根原発2号機(松江市鹿島町片句)について、立地自治体の松江市の上定昭仁市長が15日、再稼働に同意すると表明した。原発から30キロ圏内の地元自治体で再稼働を容認したのは初めて。市議会は市長の同意表明に先立つ臨時会の本会議で、再稼働の是非を問う住民投票条例案を賛成少数で否決した。
(平田智士)
島根原発は全国で唯一、県庁所在地に立地する。2号機は昨年9月、安全対策に関する原子力規制委員会の審査に合格した。同意表明までの期間は5カ月で、事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ「沸騰水型」が立地する全国の自治体で最も短い。
上定市長は15日の市議会全員協議会で、安全性▽必要性▽避難対策▽地域経済への影響|を重視しながら「熟考熟慮を重ねてきた」と強調。「再生可能エネルギーが電力を安定供給できるようになるまでの間、安全性の確保を前提に原発に頼らざるを得ない」と述べた。安全協定に基づき、中電に近く、「事前了解」(同意)を伝える。
中電が2号機を再稼働させるには立地自治体の事前了解を得る必要があり、昨年9月15日に松江市と島根県に申し入れていた。
島根県の丸山達也知事は県議会のほか、周辺自治体の出雲、安来、雲南の3市、鳥取県と米子、境港の2市の「意見」が出そろった後に結論を出す考えで、判断は早くとも3月下旬以降になるとみられる。
一方、松江市議会は全員協議会で、会派ごとに再稼働を認めるか否かの意見を表明。自民党系の松政クラブ、志翔の会、明政会と、公明クラブが賛成し、共産党市議団が反対した。立憲民主、国民民主両党系の民主ネットワークは会派内で意見が割れたとして、賛否を示さなかった。
市民団体が市民1万1006人分の署名を集めて制定を直接請求した住民投票条例案は、本会議で採決が行われ、賛成6人、反対26人だった。