新型コロナウイルス禍後の観光客誘致に向け、米子市が2022年度、皆生温泉街の海岸周辺で街路灯と照明装置を整備する。日本海沿いの立地を生かしてリゾート感を演出。散策を魅力の一つに加えて「ナイトタイムエコノミー」(夜の経済活動)を誘引する。
米子市皆生温泉3丁目と4丁目にまたがる海辺の600メートルで、街路灯18基を更新。落ち着いた風情を醸す暖色系の明かりで統一し、砂浜も照らし出せるようにする。整備区域の西端にある皆生海浜公園では、照明装置を新設して松並木や、あずまやなどを浮かび上がらせる。
22年度一般会計当初予算案に整備費2億600万円を計上。繁忙の海水浴シーズンを過ぎた9月ごろに着工、23年3月末までの完成を目指す。
温泉街は山陰両県屈指の規模ながら、宿泊客が飲食や入浴を旅館内で完結する傾向が強く、夜間の人通りは限定的だった。
旅館の若手経営者グループが19年に「皆生温泉まちづくりビジョン」で構想。21年3月には、官民でつくる実行委員会が2日間にわたって試験点灯し、屋台の出店も相まってにぎわい創出への手応えを得た。グループの座長を務めた皆生グランドホテルの伊坂明社長は「将来にわたって選ばれる温泉地への第一歩だ」と期待を寄せる。
市は街路灯などの整備をきっかけに、温泉街に飲食店やイベントなどを引き寄せる考え。市経済部の奥田晃巳文化観光局長は「観光客だけでなく、市民も日常的に訪れ、地元の魅力を再発見するようになればいい」と話した。
(田淵浩平)