荘内銀行(山形県鶴岡市)と北都銀行(秋田市)を傘下に持つフィデアホールディングス(HD、仙台市)と東北銀行(盛岡市)が2月10日、昨年7月に公表していた経営統合の基本合意を白紙撤回した。
東北エリアでの広域な成長戦略を描こうとするフィデアHDに対して、地域密着のリレーションシップ・バンキングを志向する東北銀行との間の溝が埋まらなかったためだ。
人口減少と少子高齢化、長期の低金利で、担保・保証に依存するだけの伝統的な貸出モデルが立ちゆかず、地方銀行など地域金融機関は持続可能性を問われている。ただ、今回の統合決裂は、数合わせの拙速な再編が地域の将来に禍根を残しかねない危うさも露呈した。
折しも新型コロナウイルス禍による需要の変動、電気自動車(EV)シフト、世界的な資源高など、経営環境は大きく変わっている。金融機関の再編は「手段」でしかなく、「目的」は地域の未来にあることを立ち止まり、改めて思い起こす必要がある。
相いれない価値観
フィデアHDと東北銀行の微妙な関係は、...
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