「夢多き頃」(左)などの作品を鑑賞する来場者=安来市古川町、足立美術館
「夢多き頃」(左)などの作品を鑑賞する来場者=安来市古川町、足立美術館

 足立美術館(安来市古川町)の夏季特別展「日本画オールスター」がこのほど始まった。日本や中国の歴史上の人物、能や歌舞伎といった古典芸能の主人公などを描いた日本画37点が並び、来場者を楽しませる。8月30日まで。

 目を引くのは、伊東深水(1898~1972年)が戦後の1952年に制作した「夢多き頃」。それまでの日本画でよく題材にされてきた歴史上の人物と違い、娘で後に女優となる朝丘雪路ら女学生7人を描いた。娘の朝丘は画面左から2人目で、後ろ姿で描かれているのが興味深い。朝丘は「耳の形で私だと分かる」と話していたという。

 同じく深水が57年に手がけた「ペルシャ猫」は当時の人気女優・木暮実千代がモデル。伝統的な着物姿に真珠の指輪を着け、髪形はパーマで海外原産の猫を抱くという和洋折衷の風俗を描き、世相がうかがえる。

 古代中国の美女・王昭君を描いた安田靫彦(ゆきひこ)(1884~1978年)の作品は性格まで研究したといい、凜(りん)とした表情が印象的だ。

 年中無休。入館料は大人2300円、大学生1800円、高校生千円、小中学生500円。

             (桝井映志)