「家族」をめぐる磁場の変容に、人びとの注目が集まっている。象徴的なのは、雑誌「早稲田文学」増刊号の「家族」特集だろう。父親が文字どおり消失してしまう?末(てんまつ)を描いた石川宗生「野に還(かえ)る」や、万事を〝ままごと〟で運営する家族の姿を描いた松原俊太郎「いえいえ」など、「家族」という役割を負わされた人びとのありようを批評的な手つきで問いただす小説が並...