記録的豪雨で大きな被害が出た島根県津和野町の避難所を訪れ、被災者らを激励する安倍晋三首相(当時)=2013年8月4日
記録的豪雨で大きな被害が出た島根県津和野町の避難所を訪れ、被災者らを激励する安倍晋三首相(当時)=2013年8月4日

 安倍晋三元首相が8日、街頭演説中に凶弾を受け、死去した。参院選の投票日が迫る中での蛮行に、鳥取・島根合区選挙区の立候補者や地元政界関係者は「言論を暴力で封じるとは許せない」と憤った。北朝鮮による拉致問題や「地方創生」に取り組んだ足跡を振り、両県民からも卑劣な手段への怒りと悲しみの声が上がった。 (取材班)

 安倍晋三元首相が襲撃を受けたのは、参院選の応援演説でマイクを握っているときだった。有権者への訴えの最中の凶行に、選挙終盤を戦う鳥取・島根合区選挙区の与野党候補や陣営に動揺が広がった。遊説日程などの大きな変更はなかったものの、演説で安倍氏への追悼の言葉を述べるとともに、民主主義の根幹を揺るがす暴力への怒りをあらわにした。

 安倍氏の死亡が発表された8日夕、出雲市内で街頭演説に立った自民党現職の青木一彦候補は「(2019年9月に)国土交通副大臣に任命していただいたのが、安倍元首相だった。いろんな意味でかわいがってもらった」と、神妙な面持ちで述べた。

 立憲民主党新人の村上泰二朗候補は「いかなる理由でも断じて許される行為ではなく、とても強い怒りを覚える」と語気を強め、共産党新人の福住英行候補も「(政治的な)立場は違うが、暴力で言論を封殺することは断じて許されない」と訴えた。

 NHK党新人の黒瀬信明候補は訃報を聞き「国家のために人生を懸けてこられた。心より冥福をお祈りする」と話した。政治団体・参政党新人の前田敬孝候補は「暴力で言論をねじ曲げることがあってはならない。こういうことが起こるとは非常に悲しい」と非難した。