15日で50周年を迎えるシンガポールの観光名所「マーライオン」像=2018年6月
15日で50周年を迎えるシンガポールの観光名所「マーライオン」像=2018年6月
高層ビルに囲まれるように建つ札幌市時計台=6月3日、札幌市中央区
高層ビルに囲まれるように建つ札幌市時計台=6月3日、札幌市中央区
15日で50周年を迎えるシンガポールの観光名所「マーライオン」像=2018年6月
高層ビルに囲まれるように建つ札幌市時計台=6月3日、札幌市中央区

 初めての海外取材は22年前のシンガポールだった。大手通信会社の広報担当に誘われ、通信機器の国際展示会を視察するため、他の地方紙記者らと一緒に渡航した▼ところが「視察以外は自由に楽しんで」と路地裏で放り出され、観光地見学はなし。辛うじて移動中のバスから「マーライオン」像を見た程度だった▼ブリュッセルの小便小僧、コペンハーゲンの人魚姫と並んで「世界三大がっかりスポット」とされるマーライオン。伝説にちなんで上半身はライオン、下半身は魚の姿をした高さ約8・6メートルの像は、20年前に現在地へ移転するまで、観光客に背中を向ける位置にあったのが〝がっかり〟の一因らしい。それでも土産に像の人形を買った▼日本にも、はりまや橋(高知)やオランダ坂(長崎)など「三大がっかりスポット」と呼ばれる場所がある。そのうちの一つ札幌市時計台に6月初めに足を運んだ。札幌農学校(現北海道大)の演武場として1878年に建てられた国の重要文化財なのだが、近代的な高層ビルが周囲に立ち並んで「思ったより小さく見える」のが〝がっかり〟の理由。建物の価値に変わりはないのに▼とはいえ、国内外の「がっかりスポット」に共通するのが、知名度を生かした訴求力の高さだろう。15日にマーライオン建立50周年を迎えるシンガポールでは限定品も販売される。〝がっかり〟は〝がっぽり〟に変換できる。(健)