二ツ山城の旗や、イベントで子どもが着用する段ボール甲冑を前に来場を呼びかける吉川正さん=島根県邑南町下田所、田所公民館
二ツ山城の旗や、イベントで子どもが着用する段ボール甲冑を前に来場を呼びかける吉川正さん=島根県邑南町下田所、田所公民館

 戦国大名の毛利元就が石見進出の際に本陣を置いたとされる県内有数の規模の山城・二ツ山城跡(邑南町鱒渕)の歴史や価値を学ぶイベント「出羽氏と二ツ山城を語る」が10月15、16の両日、邑南町内で開かれる。研究者の講演や現地見学会のほか、瑞穂小学校の児童が甲冑(かっちゅう)を着て歩く取り組みも企画し、幅広い年代に城跡への理解を深めてもらう。 (糸賀淳也)

 二ツ山城は1223年に出羽氏が築城したとされる。阿須那の高橋氏によって落城した後、毛利氏が高橋氏を滅ぼし、再び出羽氏が城主となった。元就の六男・元倶(もととも)が養子として入城して以降、現在の姿に改められたと考えられている。

 歴史的に重要な拠点であったとされる一方、地元で元就の六男がいたと知る人が少ないため、地元住民らが2021年で元倶の没後450年を迎えたのに合わせ、イベントを企画した。

 15日は田所公民館(同町下田所)で中世史専門の島根大の長谷川博史教授が、出羽氏と高橋氏・毛利氏の関係について講演するほか、県中世史研究会代表の山根正明氏が「山城の山上居住と二ツ山城」と題して話す。講演後は二ツ山城に登り、地元住民のガイドで本丸や西の丸などを回る。

 16日には瑞穂小学校児童30人が事前に段ボールで作った手づくりの甲冑を着て二ツ山城の山頂でのろしを上げ、戦国の世に思いをはせる。

 主催する久喜銀山振興協議会の吉川正さん(73)は「二ツ山城は県内を代表する山城だ。登らなければ分からないこともある。ぜひ来てもらいたい」と呼びかけた。

 15日の講演会と見学会は無料でそれぞれ定員がある。問い合わせ、申し込みは田所公民館、電話0855(83)0518。