短歌 宮里勝子選

屋根葺きの若き職人猛暑押しカナヅチの音青空に満つ       大 田 永野砂由美

 【評】カナヅチの音が暑さを吹き飛ばすような一首。気温は体温を上まわり、まして屋根の上は照り返しも強い。暑さをものともせず精を出す若者を活写している。作者の思いは結句の青空に満つに表れた。

風鈴がかすかに鳴った八月の終わりに母が居た夏さがす      米 子 山本ひとみ

 【評】お母さんはどのような方だったのでしょうか。多くは言わず想像の余地を残し風鈴の音に託されている。初秋の背景にはそ...