気軽な相談の場にしたいと話す中谷優一さん=浜田市内
気軽な相談の場にしたいと話す中谷優一さん=浜田市内

 障害者の性に関する悩み相談に浜田市で障害者施設を運営する中谷優一さん(36)が無料で応じ、当事者や家族の心のよりどころになっている。知的障害がある男性が人前で性器を触るなど、繊細かつ深刻な悩みが多いが、気軽に相談できる場所がないと知り業務の隙間時間に始め、口コミで広がっている。 (中村成美)

 中谷さんは浜田市出身で、島根県内の福祉専門学校を卒業後、市内の介護施設、障害者施設に勤務。29歳だった2015年に独立し、市内で放課後等デイサービスやグループホームを運営している。

 相談に応じているのは業務の合間の1時間程度。知的障害や発達障害がある男性の家族からの相談が大半で、人前で性器をいじるのをやめない、バスの中で知らない女性の髪を触るなど、どの相談も切実という。

 かつて勤めていた障害者施設で、当時担当だった知的障害のある中学生男児の母親から「おっぱいを頻繁に触られて困っている。注意しても直らない」と打ち明けられたことがあった。社会に出て同じことをすれば、性加害者になりかねない重大な問題だと感じたが、答えるだけの知識を持ち合わせず、悔やんだ。

 性に関する相談窓口を調べたが、身近にはないと知り、「繊細な悩みだけに対面で話を聞く場をつくりたい」と自らが相談相手となることを決意した。性の悩み相談の受け方に関する講習会を受け、現在も書籍などで勉強を続ける。

 相談に乗る時は、障害で感情表現が苦手な人も多いため、人前で性器をいじるケースでは、単に刺激を得たいのか、それとも下着のサイズや繊維、肌荒れが問題なのか、具体的な想定をしながら尋ね、相談者と一緒に原因を探している。

 評判は口コミで広がり、施設の利用者でない人や県西部の学校関係者からも依頼がある。繊細な問題のため悩みを抱え込む人も多いとみられ、「吐き出すだけで救われる人もいる。気軽に相談してほしい」と話している。

 相談は一般社団法人Copain(コパン)(浜田市田町)で、予約制で受け付けている。問い合わせはCopain事務所、電話0855(25)5125。