日本海交易で栄え、日本遺産に認定された中世の益田市をテーマとする特別展が、しまね海洋館アクアス(浜田市・江津市)で27日始まった。海つながりで実現した連携企画で、館内の一角に再現されたいにしえの市の情景や、領主だった益田氏の紹介パネルが来場者を戦国時代にいざなう。来年1月16日まで。
益田氏17代当主宗兼が再興した医光寺(益田市染羽町)の門を思わせるパネルをくぐると、明誠高校(同市三宅町)の生徒が描いた益田氏の歴代当主(全20代)のイラストパネルで会場を案内。雪舟庭園を印刷した巨大タペストリーや、家紋入りの甲冑(かっちゅう)など約100点が目を引く。
益田氏が戦国大名・毛利元就をもてなした膳の展示では、アユの干物やクラゲを酢であえた料理など、当時の食文化を垣間見ることができる。
27日は、来場した先着30人に益田市特産のユズなど記念品を配った。訪れた江津市嘉久志町の写真作家、小林茂雄さん(67)は「アクアスと益田の異色の組み合わせで興味をそそられた」と話した。
特別展は2020年に日本遺産認定された中世の益田市をPRする官民団体「益田の歴史文化を活(い)かした観光拠点づくり実行委員会」が呼びかけ実現した。アクアスが自治体の施策と連携するのは初めて。
(中村成美)