「明窓」の見出し作りについて学ぶ島根大付属義務教育学校前期課程の6年生=10月28日、松江市大輪町
「明窓」の見出し作りについて学ぶ島根大付属義務教育学校前期課程の6年生=10月28日、松江市大輪町

 9年前に映画化された三浦しをんさんの小説『舟を編む』の舞台は出版社の辞書編集部。個性豊かな編纂(へんさん)者らが辞書作りに没頭する姿を描いた。タイトルには「辞書は言葉の海を渡る舟。編集者はその海を渡る舟を編んでいく」という意味が込められている。印象的かつ秀逸だ▼それに倣うなら、当コラムの執筆も言葉の海でさまようかのよう。568文字の限られたスペースの中、自分の世界に酔い過ぎて言葉の海に溺れ、読者を置き去りにしないよう心がけている▼先日、島根大付属義務教育学校前期課程(松江市大輪町)で6年生を対象に、当コラムの見出し(タイトル)を考えてもらう授業を行った。ご覧の通り、当欄に見出しはない。それを付けるには、文章を読み解く力が必要になる▼事実関係を伝えるのが第一の一般記事に比べ、執筆者の思いがこもるコラムは何でもありのフリースタイル。当然見出しも画一的にはならず、個性あふれるはず。ポイントとして、分かりやすく、読者を引き付ける言葉を選ぶことを挙げた▼児童には、1カ月前に掲載したバスケットボール男子Bリーグ1部・島根スサノオマジックの開幕戦に合わせたコラムを題材に、宿題を出した。集まった作品は、見出しを付ける新聞社のプロに審査してもらい、後日、ユニークな作品を特集面で紹介する予定だ。言葉の海でさまよう難しさと、楽しさを味わってほしい。(健)