参院本会議で答弁に臨む寺田稔総務相(当時)。左下は岸田文雄首相=10月7日
参院本会議で答弁に臨む寺田稔総務相(当時)。左下は岸田文雄首相=10月7日

 閣僚の「辞任ドミノ」が止まらない岸田政権。1カ月間で3人が交代となった受け止めを山陰両県選出の国会議員に問うと、8月に前倒しした内閣改造の「失敗」を指摘する声が多かった▼支持率低下に危機感を抱いた岸田文雄首相が旧統一教会との関係見直しをアピールし、政権浮揚につなげたい思惑が透けたが、結果は裏目に出た。教団と接点があったものの、経済再生担当相に留任させた山際大志郎氏は更迭し、見通しの甘さが際立った▼人事を急いだために「身体検査」がおろそかになったと分析する議員もいた。政治資金や選挙を所管する総務相として疑惑が相次いだ寺田稔氏が該当する▼翻って、カタールで開催中のサッカーワールドカップ。首相の地元を本拠地とするサンフレッチェ広島で選手や監督を務めた経験を持つ日本代表の森保一監督は、ドイツ戦で選手交代が次々とはまり逆転勝利を呼び込んだ。しがらみの少ないスポーツと政治の世界は違うとはいえ、起用が的中した指揮官の姿を首相がうらやましく思っても不思議ではない▼政界では年末年始での再びの内閣改造論がくすぶる。ただ、8月の改造時も共同通信社による世論調査で支持率は3・1ポイントの微増にとどまり、同じ轍(てつ)を踏む可能性もはらむ。守勢に回った交代ではなく、やりたい政策を前面に出した攻撃的布陣にすることが、日本の歴史的勝利に学ぶ教訓ではないか。(吏)